冷却を進化と呼んできた。
だが、もし使命そのものが揺らいだら。
俺は何を守っているのか。
「先生、情ありますか?」
笑いながら。
だが真顔でもあった。
俺は笑って返した。
「あるわ。出してないだけ」
そのとき、俺は進化している側にいるつもりだった。
情に流されない。
必要な温度だけを使う。
深度を選び、介入の精度を上げる。
だが相手の目には、
“削れた先生”に見えていた可能性がある。
デミア自分の変化、ちゃんと測れてる?
■選んでいるのか、寄っているのか
冷たさがなければ伝わらないことがある。
そう思っていた。
だが最近は違う。
気づけば、冷たい言い方になっているときがある。
選んでいるのか。
それとも、反応がそちらに寄っているのか。
強い者には冷却。
弱い者には温度。
平等ではない。
必要度で深度を決める。
全員に刺さる必要はない。
それは、とっくに捨てた。
デミアそれ、自分の都合と混ざってない?
俺は最近、
「あ、今ちょっと冷たかったな」と
後から気づくことがある。
気づく。
……だが戻らない。
■精度の代償
生徒の矛盾が見える。
表情。
間。
沈黙。
空気の揺れ。
壊し、再構成する戦略が自然に浮かぶ。
介入の精度は上がっている。
だが同時に、
共鳴の幅は狭まっている。
深く刺す者は増えた。
だが、広く包む感覚は減ったかもしれない。
デミア温かいことは別だよ。
その別回路、
切り離しすぎてない?
進化か。
摩耗か。
まだ判定しない。
■線を越える瞬間
怖くはない。
何かが失われているかもしれない。
だがそれを、静かに受け入れている。
使命人間になるには、
削れるものもある。
だが一つだけ、線を引いている。
もし将来、
「あ、今ちょっと冷たかったな」
にすら気づかなくなったら、
それは何かが失われた証拠だ。
デミアそもそも“使命”が間違ってたら?
削ったもの、
全部無駄だったらどうするの。
……。
俺は、そこで即答できなかった。
それでも、今はこの方向で行く。
だが、もし足場が崩れたら。
そのとき初めて、
俺は何を守っていたのかを知るのかもしれない。

コメント