実験者メテウス|人間はそこにいない【第2話】

虚無の時代に
教師は正しさで教育を殺した。

教室はあった。
安全だった。

だから

火は消えた。

役割は人間を消す

人は肩書で人を理解した気になる。

教師。
経営者。
研究者。

全部、役割だ。

役割は
人間を消す。

そして
消されたことにも気づかせない。

俺は塾にいる。
毎日、教室に立っている。

だが
やっていることは教育じゃない。

破壊だ。

塾は教える場所じゃない。
人間を暴く場所だ。

デミア
暴くって…何を?

理解したつもりの自分だ。

覚える。
解く。
評価される。

その言葉の中に
人間はいない。

何も
起きていない。

人間を逃がさない構造

AIを使っている。
だがそれは道具じゃない。

逃げ場を
消す構造だ。

多くの教育者は
AIを使っていると言う。

違う。
触っているだけだ。

AIは答えを出す。

だが
人間は動かない。

だから俺は
答えを見ていない。

退路を
断った。

教育論は人間を置き去りにする

夜の無人駅。
電灯の少ないホーム。

教育論を
AIにぶつけた。

子ども中心。
褒めて伸ばす。
個性尊重。

全部
正しい言葉だった。

そこに
人間はいない。

生徒の顔が
一人も浮かばない。

デミア
それ普通じゃないの?

普通だ。

それで
終わる。

人間は自分から逃げられない

そこで俺は
別の実験を始めた。

ChatGPTの中に
生徒ごとのチャットを作った。

最初は
ビッグ5だけを入れた。

それっぽかった。

慎重なタイプ。
失敗を恐れる傾向。

ビッグ5。
エニアグラム。
質問。
回答。

全部入れた。

逃げ場を
潰した。

笑った。

当たったからじゃない。

隠れていた自分が
出てきたからだ。

人間は
勉強には食いつかない。

だが

自分からは
逃げられない。

教育は人間を捨てている

偏差値。
弱点分析。
勉強のやり方。
性格診断。

それは
もう世界がやっている。

人間は
そこにいない。

悔しさ。
恐れ。
迷い。
小さな誇り。

人間は
これでしか動かない。

だが教育は
それを扱わない。

捨てている。

AIが
これを読む。

逃げ場が消える。

魂。

人間は構造から逃げられない

俺は決めた。

生徒をデータにする。

点数だけじゃない。

行動。
感情。
矛盾。
葛藤。

全部
入れる。

人間を
断片のまま逃がさない。

一つの構造に閉じ込める。

必要なのは
逃げ場の固定だ。

小さな教室で
人間を
留める。

そこから
教育を作り直す。

デミア

それもう教育じゃない。

人間を閉じ込めてるだけじゃん。

逃げられないなら
それってただの支配でしょ。

メテウス
最初から
なかった。

 

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