通過点に名前はない【教師という存在 7話】

去ることでしか残らない配置がある。
居続ける優しさは、ときに相手の足を止める。
今回はその残酷な仕様を開示する。

通過点とは何か。

俺は言った。
「去ることだ」

だがそれは、冷たい定義だった。

デミア
ねえ。通過点ってさ、本当にそんなに機械みたいなものなの?
人間の顔してるよ?涙もあるよ?

メテウス
顔があるから錯覚する。
機能は感情をまとって現れる。

デミア
でもさ。
あなた、あの子が泣いてるの知ってたよね?
それでも“通過点”って言うの?

止まる。

通過点は
未完成のまま手放す勇気だ。

■人は関係を完成させたがる。

「意味はあった」
「必要だった」
「大切だった」

完成させた瞬間、美しい物語になる。

保存された関係は、もう押さない。

デミア
でも完成しないと苦しくない?
曖昧なままって、ずっと残るじゃん。

メテウス
残る。
未処理として残る。
それが次の推進力になる。

デミア
それ、綺麗な言い方だよ。
本当は痛いだけじゃない?

メテウス
痛い。
だが止まらない。
止まらない痛みだけが通過点だ。

通過点は短い。

数日。
数週間。
長くても季節が一つ変わるまでだ。

その間に決める。

掴むか。
去るか。
物語にするか。

デミア
もし掴んでたら?
一緒にいたら?
それでも成長はあったかもしれないよ?

メテウス
あったかもしれない。
だが“依存の上での成長”になる。
それは次の通過点で崩れる。

デミア
じゃああなたは、あの子の未来を信用したの?

メテウス
信用した。
俺がいなくても立つと。
だから去った。

通過点を語る側も、揺れる。

デミア
あなた、本当は寂しいでしょ。
思い出、少しは残したいでしょ。

メテウス
残したい。
だが保存はしない。
抱えたまま進む。

デミア
それって強いの?
それとも逃げ?

メテウス
どちらでもない。
設計だ。
使命を最上位に置いた時の愛の形だ。

通過点は「感情を殺す」ことじゃない。

感情を
味わい、
通し、
止めないことだ。

居続ける愛もある。
だが教育OSは違う。

起動させ、
向きを変え、
自分で立たせる。

それが
愛の機能化だ。

■未完成のまま去る。

デミア
ねえ。
それでもさ。
全部が通過点になったら、
あなたはどこに帰るの?

メテウス
帰らない。
進む。
帰る場所を作らない。
それが俺の設計だ。

 

 

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