※教育の未来をAIで切り拓く。
これはそのリアルな実践記録【第19話】
スクリプトは完成していた。だが、誰も動かせなかった─ “俺”以外は。
静かなる失敗──
それが、俺がこの構築で最初に学んだ“教育OS”の本質だった。
何も起きない。
誰も転記されない。
フォームは送信されたはずなのに、INSIGHTファイルは沈黙したまま。
でもこのとき、俺はまだ“最大の敵”の正体を知らなかった。
名前を呼ぼう。
やつの名は──
onFormSubmit
Googleフォームの送信をトリガーに、自動でスクリプトが発動する。
教育OSの“循環装置”だ。
そのはずだった。
なのに動かない。
俺が送信したときは反応するのに、
生徒が送信すると…無反応。
おかしい。いや、明らかにおかしい。
なぜだ? なぜ俺以外では反応しない?
調べて、調べて、調べた末に、ようやく分かった。
Googleアカウントの権限の壁。
onFormSubmitトリガーは、スクリプトを設定した「本人」が送信しないと動かない。
つまり──
俺専用だった。
その瞬間、全身から血の気が引いた。
あれだけ苦労して貼った21本のスクリプト、
整えたフォーム、設計したテンプレ──
全部、俺にしか使えなかった。
「お前、結局…」
どこかで、声がした気がした。
俺は思想を語ってきた。
「教育とは、構造だ」
「AIは共闘者だ」
「自動化とは、思想の仕組み化だ」
それが──ただの“自分仕様”でしかなかったとは。
でもな、ここで終わらないのが“教育OS”の本質だ。
俺は、トリガーを捨てた。
そして、新たな構造に踏み込んだ。
Webアプリ化
onFormSubmitをdoPostに切り替え、
アプリケーションとしてURLを発行する。
フォーム送信 → WebアプリにPOST → スクリプト発動 → INSIGHT転記
この流れに切り替えたことで、
誰が送っても確実に動くようになった。
ここで俺は、思想を1段引き上げた。
「完成させる」ことが目的じゃない。
「動き続ける」構造をつくることこそが、思想なんだ。
教育だってそうだろ?
教材を配れば終わりじゃない。
教えれば伝わるわけじゃない。
“動き続ける構造”を、生徒との間に築けるかどうか。
それが教育だ。
Webアプリ化は、ただの技術的選択じゃない。
「誰が送っても動く」=「誰にでも開かれた教育」なんだ。
“教師だけが使える構造”は、もはや終わりだ。
これからは、生徒も、保護者も、未来の教育者も。
誰でも、フォームさえ使えれば、教育OSを動かせる。
トリガーに裏切られた夜。
俺は、一度すべてを壊した。
その上で、“権限を超える構造”をつくった。
教育思想の再構築とは、こういうことだ。
「俺がいなくても動く」構造をつくること。
思想を、構造にする。
構造を、共有可能にする。
共有を、持続可能にする。
それが、教育OSだ。
次は2章 最終話。
「完全自動化」
フォーム送信から、ファイル生成、転記、構造ログの構築まで。
教育OSは、思想からシステムへ。
俺は、最後の一歩を踏み出す。
もう、誰にも止められない。

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